地方自治体によるNFT活用事例【完全版】

       

日本政府は2022年6月7日閣議決定の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」、「経済財政運営と改革の基本方針2022 骨太の方針」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」、2024年11月8日に設置された地方創生策を検討する閣僚会議「新しい地方経済・生活環境創生本部」において、NFTを活用した施策を推進することを公表しています。

WEB3.0二関連する政府方針文書

出所:デジタル庁

日本政府の地方創生2.0

出所:石破茂政策集

そのような中で、日本ではすでに地方自治体による多くのNFTの活用事例が積み上がってきています。そこで、各自治体が実施したNFT活用による事例をジャンル別に要点をわかりやすくまとめました。


地方自治体によるNFT活用事例概要

地方自治体による活用事例として、成功事例をピックアップすると主に下記の5つのパターンに分けることができます。関係人口拡大、シティプロモーション、地元産業支援、財源確保、ふるさと納税増加など、様々な目的で利用されています。

NFTの活用方法NFT活用の目的
会員権・チケットNFT地元商品・サービスの一括販売
NFT無償配布関係人口をデジタルで囲い込む
NFT証明書地元商品・サービスの付加価値を上げる
ネーミングライツNFT売れないネーミングライツの販売
ふるさと納税NFT・支援NFT資金集めのためのNFT販売

NFTの施策は予算がなくても実施できるという点でも優れています。来年度の予算を組む前に、費用をかけずに実施することができることもスピード感をもって施策が実現できることにつながっています。

縦軸に抱える課題、横軸に施策内容をまとめますと、以下のように整理することができます。

自治体が抱える課題とNFTによる解決手段のまとめ

会員権・チケットNFTの自治体NFT成功事例

会員権やチケットをNFT化する事によって、デジタル上で会員権やチケットを安全に取引できるようになります。NFTが持つ唯一性を証明できる特性を活かし、偽物が流通しない中で、会員権やチケットの二次流通が可能となります。

これにより、コピーや偽物対策などを施した会員権を実物として用意するコストをかけたり、デジタル上で不正を防止したデジタルチケットシステムを作ったりせずに、簡単に魅力的な日本のサービスをNFTとして販売・流通できるようになります。

町外からの旅行者を増やして成功【山形県西川町】

山形県西川町は、日本で始めて自治体が発行元となってデジタル住民票NFT(第一回NFT第二回NFT)を販売し、リアルに約1,915人(2024年9月末時点)を町に呼び込むことが出来ました。デジタル住民票NFTを持って町外から町に訪れて温泉を利用した人数は、下記グラフの通り着実に増加を続けており、町への誘客に成功し、地方創生2.0を実現に導いています。

西川町のデジタル住民票NFT(第一回)では、町外の方がデジタル住民票NFTを温泉施設で提示すると、無料で温泉に入ることができる会員権型NFTとなっています。NFT保有者限定のデジタル住民コミュニティも運営されており、リアルでの交流会なども開催されています。

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山形県西川町のデジタル住民票NFTで西川町を訪れて温泉を利用した人数推移

遠方からの誘客に成功【山口県美祢市】

山口県美祢市は、鍾乳洞の秋芳洞の入場無料などの権利がついた会員権NFTを山口県美祢市デジタル住民票NFTとして販売しており、遠方の千葉県やあらゆるところからデジタル住民が訪れるようになったことがテレビ報道されています。

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山口県美祢市のデジタル住民票NFT

名物町長の講演権や特産品のビールチケットNFTで地元産業支援・財源確保

山形県西川町は2024年度にかせぐ課を設置し、町の財源確保のために町自らがかせぐ取り組みを行っています。その取組の一環として、菅野町長、内藤副町長自らも町のために出稼ぎし、高齢者福祉施策に向けた財源確保を図っています。さらに講演や面談によって、西川町が行っている先進的な取組みや町長の想いを全国に発信し、町をPRすることも目的としています。すでに町長の講演権NFTは300万円分が完売しています。また、町を訪れるとビールが飲めてビール工場が見学できるチケットNFTも完売しています。

山形県西川町のチケット・会員権NFT

市内焼肉店等と連携した会員権NFT【大阪府羽曳野市】

大阪府羽曳野市は、市内の店舗で無料サービスや割引を受けられる特典が付与された会員権型NFT、羽曳野市デジタル住民票NFTを販売しています。NFTが持つ唯一性を証明できる特性を活かし、コピーや偽物が流通しない形での羽曳野市内の食や観光体系の魅力を広める施策を実現しています。さらに羽曳野市のデジタル住民票NFTは進化し続けており、販売後に特典使用連携店舗が増加しています。

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大阪府羽曳野市のデジタル住民票NFT

コスプレイヤー✕7地方自治体によるアンバサダーNFT【和歌山県那智勝浦町、奈良県宇陀市、京都府城陽市、兵庫県上郡町、栃木県益子町、山梨県大月市、山梨県富士川町】

人気コスプレイヤーが各地域にちなんだ「地域共創衣装」で登場し、各地域の寺社にて祈祷の上で提供する「デジタル住民NFTアンバサダーカード」が和歌山県那智勝浦町、奈良県宇陀市、京都府城陽市、兵庫県上郡町、栃木県益子町、山梨県大月市、山梨県富士川町の7地方自治体で登場。人気コスプレイヤーのえなこ(SNS/YOUTUBE フォロワー数 250 万人)氏、東雲うみ(SNS/YOUTUBE フォロワー数 150 万人)氏、えい梨(SNS/YOUTUBE フォロワー数 26.5 万人)氏らがデジタル住民NFT「アンバサダー」カードの魅力をPRしました。

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コスプレイヤー✕地方自治体の地方創生

NFT無償配布による自治体NFT成功事例

SNSキャンペーンでのNFT無償配布によるプロモーションや、スタンプラリーでのNFT配布、商品パッケージへQRコードを記載してのNFT配布など、様々なプロモーション用途でNFTの無償配布施策が有効です。

さらにNFTの特性から、保有者に発行者が継続して情報を発信したり、NFT保有者同士でコミュニケーションを取ったりするコミュニティを作れるため、NFTを無償配布することで、配布したユーザーの囲い込み施策も可能となります。

SNSキャンペーンやリアルイベント参加ユーザーにトレカNFTを無償配布【山形県西川町】

山形県西川町では、リアル交流イベントの参加やSNSキャンペーンの参加でもれなくトレカNFTを無償配布する施策を実施しています。これにより、人口約5,000人の町で、フォロワー数が527名→1,214名と2.3倍(687名増)に拡大しました。さらに、リアルイベントにも多くの町外ファンを呼び込むことに成功しています。

トレカNFTの無償配布
NFTを使ったSNSキャンペーン

NFT証明書による自治体NFT成功事例

NFT証明をつけることで、無数にコピーできるものにもナンバリングして希少性をもたせることができます。NFT証明書により、複製や偽造が困難となり、その希少性を価値にすることができます。これによって、政府が掲げる地方を守る「地方創生2.0」における「ブロックチェーン技術、NFTを活用し、食や観光体験等地域の持つ多様なアナログの価値を世界価格に引き直し最大化する」という政策方針に基づき、コピーや偽物が流通しない形で経済価値を世界価格に引き直します。

大相撲九州場所でNFT証明付き資産性御朱印をインバウンド向けに20倍の価格で販売【福岡県福岡市】

観光庁の「特別体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」の一環として、日本で初めて鳥飼八幡宮が発行する数量限定の御朱印にNFT証明をつけて唯一性を担保した資産性御朱印が大相撲九州場所の福岡市のブースで発売されました。

鳥飼八幡宮が発行する御朱印は全3色(各50枚)で合計150枚のみ発行されます。それぞれの御朱印はナンバリングされており、世界に150枚しかありません。御朱印はそのままではコピーされたり、偽造されたりしてしまうリスクはありますが、150枚すべての御朱印1枚1枚にブロックチェーン技術を使ったNFT証明をつけることで、コピーや偽造を防止する仕組みとなっています。御朱印そのものがコピーや偽造されたとしても、証明書となっているNFTはコピーや複製ができないため、証明書となるNFTといっしょに譲渡・売買することで、偽造を防ぐことが可能となります。

これによって、従来発行数の管理や本物・偽物の証明が難しかった御朱印に資産性をもたせ、主にインバウンドで大相撲九州場所に来日される外国人観光客に販売します。通常の御朱印は1,500円で販売されますが、数量を限定したNFT証明付きの資産性御朱印は販売価格が1万円~3万円と最大20倍の価格で販売が実現します。

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ネーミングライツNFTによる自治体NFT成功事例

多くの自治体が公園や歩道橋、通りの名前のネーミングライツを販売していますが、知名度が低かったり、人口が少なかったりするエリアのネーミングライツは1件も入札が入らない事が多い現状があります。その中で、命名権NFTの形で販売することで、多くの個人・法人を参加に呼び込み、町の関係人口・ファンを増やし、地域の盛り上がりに繋げることができます。

人口約5千人の町の公園のネーミングライツが130万円で落札

山形県西川町が行った公園の命名権NFTオークションでは、初日から14件の入札があり101,000円まで値上がりし、最終日には1,300,000円の入札でオークションが終了いたしました。

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自治体の公園命名権NFT

新設のカヌーセンター命名権NFTが150万円で落札

山形県西川町が2025年6月に新設するカヌーセンターの命名権をNFT化してオークション販売が行われました。カヌーセンターの命名権NFTは、合計で21件の入札があり、150万円で落札されました。

なお、命名権NFTによって命名された名称は看板として設置され、さらに命名権NFTへアクセスできるQRコードが掲載されます。これにより、命名権NFT保有者が証明され、NFTが譲渡・転売されても命名権NFT保有者を特定・証明することができます。

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ふるさと納税NFT・支援NFT

ふるさと納税の返礼品や、支援を目的としてNFTの販売を行います。ポイントは、NFTを販売して得た資金をどのように活用するかを明確に打ち出し、その支援の証とする設計とすることです。

JR只見線 縁結びNFTによる維持運営費用確保のNFT【福島県只見町】

2022年10月1日に全線再開されたJR只見線において、運行経費は年間約3億円、福島県と会津17市町村が負担しています。販売収益金の一部はそのJR只見線の維持運営費用に当てられています。また、町内店舗における「JR只見線 縁結びNFT」保有者への特典も用意されています。

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国民民主党の党首「玉木雄一郎」代表によるNFT

国民民主党の玉木雄一郎 代表も取引できるNFTとして政党の党首としては初のNFTを発行されております。自身のYouTube「たまきチャンネル」でもNFTについて解説されました。

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自治体のNFT✕DAOの事例

NFT保有者をメンバーとしたDAO(Decentralized Autonomous Organization)を構築し、コミュニティ運営を活性化させている事例もあります。

DAOとは、“自立分散型組織” と呼ばれ、ブロックチェーン技術を活用して運営される、新しい形の組織やコミュニティのことで、NFTを購入=“トークンを持つ”ことで、そのDAOの正式なメンバーとなります。

山形県西川町では実際に、デジタル住民(デジタル住民票NFTを保有している人)による投票を行い、町の魅力をPRするデジタルトレカのデザインのレア度を決定しています。


自治体様向けのNFT発行サポート

HEXA(ヘキサ)では自治体様向けに様々なNFT発行のサポートを行っております。HEXA(ヘキサ)をそのままウェブからアカウント登録して活用もいただけますが、NFTの企画立案から運営サポートのご相談もお受けしております。ぜひともお気軽にご相談ください。

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