NFT(Non Fungible Token)を発行して販売する方法には様々な選択肢があります。自らスマートコントラクトをプログラムして独自のコントラクトを作って発行する方法から、海外サービスのOpen Seaなどを使って発行する方法、そしてHEXA(ヘキサ)で日本円で発行して販売する方法など様々です。NFTはどのようにどこで売ったらよいか悩まれている方向けに、NFTの発行・販売について網羅的に論点整理を行い、その方法まで具体的にまとめました。
NFTとは何か、NFTそのものについて知りたい方はNFTとはの記事を参考にしてください。また、Open SeaとHEXA(ヘキサ)以外にもNFTマーケットプレイスはありますが、誰でも販売でき、ユーザーが利用しているマーケットという点でこの2つを取り上げています。その他のマーケットプレイスの比較の詳細を知りたい方はこちらもご確認ください。
NFTを売る前に確認すべき4つのポイント
NFTを販売する前に、まずはNFTの作り方を見ていきます。NFTを作るために重要な要素を一つ一つ見ていきましょう。
1.NFTを記録するブロックチェーンは何を選択するか
NFTでまず重要なのは、どのブロックチェーンが使われているかということです。NFTの所有権の情報はブロックチェーン上に書き込まれますが、ブロックチェーンは分散台帳とも呼ばれ、世界中のそのブロックチェーンを利用するコンピューターがその信頼性を担保しています(正確には一部のコンピューターに限定され、その選定方法はトークン保有量に基づくPoSや、マイニングによる計算量に基づくものPoWなどがあります)。そのため、そのブロックチェーンが将来的に使われなくなってしまうと、そのブロックチェーン上のNFTの所有権は消失したり、または容易にハッキングされて盗まれてしまう(51%攻撃)可能性があるため、どのブロックチェーンを使って発行しているかは非常に重要です。
そのため、NFTを発行する前に必ず確認すべきことは、どのブロックチェーン上でNFTが発行されますか?ということを確認するようにしてください。もし、そのブロックチェーンが世界的に使われていないマイナーなブロックチェーンであった場合、そのNFTは将来消失してしまい、購入者に迷惑をかけてしまう可能性が高まります。また、マイナーチェーンであってもブリッジしてほかのイーサリアムチェーンなどに移転できますという機能があったとしても、結局はイーサリアムブロックチェーンにあとから乗せるためのコストがかかったり、そのブリッジ自体がうまく機能しなりリスクもあるため、それであれば最初からメジャーなブロックチェーンで発行して置くことに越したことはありません。
世界で最も信頼されているNFTが発行できるブロックチェーンはイーサリアムブロックチェーンとなります。これは、世界2位の時価総額を誇り、ビットコインのブロックチェーンに次ぐ規模となっています。その次は、バイナンススマートチェーンというチェーンとなります。これは世界3位の規模となっております。そして、次に注目されているチェーンはポリゴンチェーン(MATIC)です。これはイーサリアムのスケーラビリティやコストの問題(NFTをやり取りするだけで1万円程度のガス代がかかったり、転送速度が遅い)を解決するために作られたチェーンです。MATICはイーサリアムベースのブロックチェーンとなり、世界20位の時価総額を誇ります。そのほかにも、アメリカの仮想通貨取引所であるFTXが作ったSolanaチェーンや、Avalancheチェーン、FLOWやWAXチェーンなどもNFT発行によく使われているチェーンとなります。
2.NFT化する対象データを何にするか
次にNFTにする対象となるデータを決定します。この対象となるデータは、なんでもいいのです。画像や写真、動画、ツイート、3Dデータなどデータであればどのような形式のものでもNFT化することが可能です。すべてのデータをブロックチェーン上に記録することもできますし、主に所有権をブロックチェーン上に記録するパターンが考えられます。ブロックチェーン上に記録する情報量が多ければ多いほど、転送速度に時間がかかり、またガス代も高くなってしまいます。基本的にはデジタルデータは無制限にコピーできる性質があり、NFTにすることによって所有権が一意に特定できることがNFTのポイントですので、データの所有権をブロックチェーンに刻まれて、世界中の誰しもがそれを確認できる(ブロックチェーン上で証明できる)ことがポイントになり、所有権の情報はデータの容量にかかわりませんので、NFT化する対象データの容量は気にする必要はありません。
3.NFTにどのような権利・メリットを持たせるか
次に重要なことが、そのNFTにどのような権利・メリットを持たせるかということです。例えば、NFTを持っている人だけが観覧できる限定映像や写真をつける袋とじNFT・トレカNFTにすることもできますし、そのNFTを持っている人だけが参加できるイベントを開催することもできます。また、HEXA(ヘキサ)NFTのように購入者がそのNFTを持っているという事実をSNSで自慢できるような仕組みにすることも一つの購入者メリットになります。モナリザの絵は世界中どこでも見ることはできますが、オリジナルはルーブル美術館が所有していることは世界中誰も知っているように、憧れのアイドルの記念NFTを自分だけが持っているということ自体が価値になります。なお、注意すべき点は、収益を分配する権利などを載せてしまうと有価証券に該当してしまい、金融商品取引法の規制を受けてしまいますので、NFTにどのような権利を持たせるか検討する際には注意が必要です。
4.NFTの二次流通時の手数料に過度な期待をしない初期の価格設定
NFTのメリットとして、NFTの発行者は発行時だけではなく永続してそれが売買されて価格が上がっていくとずっとその金額の何パーセントの継続報酬が入るといううたい文句がされているケースがありますが、これには注意が必要です。じつは、多くのケースの場合、そのプラットフォーム内で売買されたときだけ収益が発行者に還元される仕組みとなっています。そのため、ある発行サービスでNFTが二次流通フィーありで発行された場合、その発行されたマーケット内で転売されたときは二次流通時の手数料が入りますが、それが世界的に有名になり、Open Seaなどの別のNFTマーケットで転売されると1円の二次流通手数料も入ってきません。そして、通常値段が高くなるにつれて、相対での売買も出てきますので、その場合ももちろん1円の二次流通手数料も払われません。著作者を守るという観点で二次流通フィーも入りますといううたい文句には気を付けましょう。
NFTの売り方
HEXA(ヘキサ)で発行して売る
HEXA(ヘキサ)では、NFTを発行して販売するための費用は一切かからないため、売れなくても費用が発生することはありません。また、ガス代も必要ありません。ファンとなる購入者も仮想通貨は必要なく、日本円のクレジットカード決済でNFTを購入できます。また、発行者はすべてSNSアカウントの認証を行わないと発行できない仕組みになっていますので、ファンがなりすましに騙される心配もありません(HEXAのなりすまし対策の詳細はこちら)。また、発行して得られた利益は日本円で銀行振り込みされるため、仮想通貨を含む複雑な税務処理も不要です。
Open Seaで発行して売る
世界的なNFTのマーケットプレイスにOpen Seaがあります。ここでは自分でNFTを発行して販売することもできます。ただし、NFTを発行するためには、NFTがたとえ売れなかった場合もガス代がかかります。イーサリアムであれば1万円以上のガス代がかかることもありますので注意が必要です。購入者となるファンも仮想通貨でないとNFTが購入できないため、販売のハードルも大きくなります。また、発行者として実績がない場合、同じ名前のアカウントで悪意のある第三者が同じNFTをなりすまして発行し、ファンが騙されるケースも相次いでいますので、その点には注意が必要です。特に世界的に有名なThe SandBoxというサービスでもなりすまし対策に頭を悩ませているという課題があります。また、NFTを発行するためのガス代は仮想通貨で支払う必要があり、さらに販売した利益も仮想通貨で受け取るため、個人であっても法人であっても仮想通貨会計を導入し、税務申告が複雑になるデメリットがあります。
HEXA(ヘキサ)でNFTを売る方法
HEXA(ヘキサ)でNFTを売るためには、認証のためにSNSアカウントだけあれば、ほかには何もいりません。簡単3ステップですぐに発行することができます。もっと詳しく知りたい方はHEXAのNFT発行マニュアルをご確認ください。
1.SNSアカウント認証する
HEXA(ヘキサ)のNFT発行ページに行き、SNSアカウントの認証を行います。
2.NFT化するデータを選ぶ
NFT化したいデータをアップロードしたり、SNS投稿であれば該当する投稿を選択します。
3.NFT販売の条件を設定して申請
次に、発行したいブロックチェーン、および発行方法(固定価格かオークションか)、販売期間、価格、NFT保有者のみが見れるコンテンツなどの設定を行い、申請は完了です。申請完了するとメールアドレス宛に確認メールが届きますので、それをクリックするだけで販売開始することができます。
4.(任意)コレクションとタグの設定
発行申請後は右上アイコンからマイページ→発行NFTを選択することで、コレクションの設定とタグの設定が可能となります。コレクションの設定とタグの設定を行なうことで、多くのユーザーさんに見つけてもらいやすくなります。
マイページ→発行NFTからプロフィール画像や説明文を設定し、さらに発行したNFTをコレクションでジャンル分けすることで様々なジャンルのNFTをわかりやすく販売することができます。コレクションの設定方法の詳細はこちら。
さらにタグの設定を行なうこともできます。タグの設定を行うことでHEXA内の検索で引っ掛けてもらい、見つけてもらいやすくなることに加え、Google/Yahooなどの検索エンジンにも引っかかりやすくなり、より多くの方に販売したNFTを見てもらうことができます。タグの設定方法の詳細はこちら。
Open Sea でNFTを売る方法
Open SeaでNFTを売るためには、ガス代となる仮想通貨を取引所で購入して、MetaMaskなどの自分のウォレット(取引所のウォレットではできません)に移動する必要があります。そのあとにOpen Seaで自分のウォレットからガス代を支払い、コントラクトに署名して販売開始となります。
1.取引所の口座を開設する
NFT発行のためにはガス代となる仮想通貨が必要です。イーサリアムブロックチェーンを例にとると、イーサ(ETH)が必要になります。ETHは、国内の仮想通貨の取引所で購入できます。コインチェック、bitFlyer、GMOコインなどです。 今回は例として早さを優先し、口座がない状態から口座開設完了して仮想通貨購入まで10分という記載のあるGMOコインでの購入方法をご紹介します。GMOコインの口座開設ページに行き、口座を開設してください。流れは直接GMOコインのページで確認いただくと分かりやすいです。
2.仮想通貨を取引所で購入する
口座開設が完了したら、仮想通貨のイーサ(ETH)を円で購入します。「取引所現物」のタブから、ETH(イーサリアム)を選んで購入できます。「販売所」からも購入できますが、「取引所現物」の方が良い条件(安く)でETHを購入できる場合が多いのでそちらがオススメです。
3. 仮想通貨ウォレットを準備する
仮想通貨を取引所から取り出して、自分専用のウォレット(財布)に保管する方法です。Open SeaでNFTを販売するためには、ウォレットにETHを送金する必要があります。
新規アドレス(仮想通貨の口座)を作った際に表示される、シードフレーズは絶対に人に教えたり、なくさないようにしましょう。シードフレーズは仮想通貨のウォレットをリカバリーするためのカギのようなものです。シードフレーズさえあれば、パソコンやスマホをなくしても復元できます。しかし、シードフレーズが盗まれてしまえば、あなたの口座が盗まれたのと等しく、勝手に仮想通貨が引き出されてしまいます。
4.仮想通貨ウォレットに取引所から仮想通貨を送金する
ウォレットができたら、取引所(GMOコイン)で購入したETHを送ります。ウォレットに残高がないとOpen SeaではNFTの販売ができないためです。ウォレットアドレスを入力する際には、しっかりとウォレットのアドレスをコピーまたはQRコードで読み込んで入力してください。ウォレットアドレスが1文字でも異なると、送金したETHは消えてなくなってしまいます。取り戻すことはほぼ不可能です。
5.NFT化するデータを選ぶ
Open Seaのサイトに接続し、NFTとしたい対象データをアップロードし、NFTにつけたい名前や参考となる外部サイト、NFTの説明などを追加することができます。ここは誰でも自由に外部サイトのURLを張ったり、名前を付けたり、NFTの説明を入れられるため、なりすましも横行しています。
6.NFT販売の条件を設定する
ここでどのブロックチェーンでNFTを発行するかを選択します。これによってNFTの作成申請が完了します。この段階でOpen Sea上でNFTページのようなものが作成されます(ですが、販売していない段階ではNFTは発行されておりませんので注意が必要です)。
次に、下記の作成されたページでSellのボタンをクリックすることで販売を開始することができます。
販売形式は固定価格での販売とオークションを選ぶことができます。そして次の画面で販売期間をや価格等の情報を入力して販売開始できます。
7 .ウォレット認証してガス代を支払って販売開始する
販売条件の設定ができたら、次はウォレットからガス代を支払って販売を開始することができます。ここで売れなくてもイーサリアムブロックチェーンであれば約1万円程度のガス代がかかります。